2023年7月5日、やえやまファームさんとのコラボ企画「SII×やえやまファーム パイン収穫体験ツアー」を開催しました。
今回のツアーは、今年3月に陸x海 Reef-Land プロジェクトの取材で有機パインのお話を伺った際に、ぜひ獲れたての有機パインを食べてみたい!そしてその魅力をさらに多くの人に伝えたい!ということで企画したものです。
お天気にも恵まれ、青空の下で始まった収穫体験ツアー。早速、パイン王子こと農産部部長の山中広久さんから、循環型農業についてお話を伺います。畜産部で出る牛糞を肥料として活用していることや、請福酒造さん提供の泡盛のもろみ粕を畑の表面に撒いてアミノ酸豊富な土壌をつくることなど、有機栽培の工夫について説明してくださいました。
「えひめAI」という、納豆、ヨーグルト、ドライイーストをグラニュー糖で培養したものを使って芯ぐされなどの病気をおさえているそうです。芯ぐされは地中の菌によって株が枯れてしまう病気だそうです。慣行栽培では農薬を使って菌を死滅させることができますが、有機栽培では、えひめAIの散布によって菌を押さえる工夫をしています。匂いを嗅いでみると、発酵した匂い。※1 法律で認められた農業、肥料を基準の範囲内で使う一般的な栽培方法のこと
どこまでも人が口にできるものだけを使うというパイン王子のこだわりに、序盤からみなさん興味深々です。
まだまだお話を伺いたいところですが、暑い中での開催なので、疲れてしまう前に早速パイナップルを収穫します!
今年4月入社の西尾充那(にしお あてな)さんが収穫のしかたを参加者に説明してくれました。充那さんは、北海道で農業を学んで石垣島にいらっしゃったという期待の若手。
この日収穫したのはボゴールという品種。鎌を持って畑に入っていくと、鋭いギザギザのついた葉っぱがズボンに刺さり、畑での作業の過酷さをいきなり思い知ります。
どんどん進んでいくと、畑には美味しそうに色づいたパイナップルがいっぱい。みんな始めはおそるおそるでしたが、やえやまファームのみなさまのフォローで、上手に収穫できました。
「獲ったどー!」「ナイスパイーン!」の掛け声が畑に響きます!
畑でしっかり熟したパイナップルは、皮を剥かなくても甘い香り。その場で鎌で剥いて食べれば格別のお味です。剥いた皮は、そのまま畑の肥料に。
みんな夢中で収穫して、こんなに獲れました!
収穫体験のあとは、パイナップルの食べ比べです!パイナップルは葉っぱのついている方が酸が強く、下に行くほど酸が弱く甘味が感じられるそうです。酸味の強い方から甘い方へ、縦にもぐもぐ食べていくのがパイン王子のおすすめ。
まずは少し酸味の強いハワイ種をいただきます。
ボゴールに比べて爽やかな酸味が強く、水分量が多くてこれもまた別の美味しさ。有機パイナップルの特徴として、ビタミンCの含有量が多いそうです。農薬を使っていない分、自分で身を守るために含有量が増えたのではないかというのがパイン王子の見解です。
次にいただいたのはピーチパイン。果肉が白く、桃のような香りがします。ピーチパインの時期は通常7月初旬には終わっているそうですが、今年は例年より20日遅れて収穫が始まったそうです。有機パイナップルの栽培をスタートしてからの8年間で、6/20以降に収穫が始まったのは初めてのことだそうです。遅くとも6/3には収穫をスタートしていたので、もともとこの企画も6/7の開催を計画していました。有機パイナップルは、収穫時期が予測しづらいことも難しさの一つです。
食べ比べのあとは、参加者からの質問タイム。
①肥料の種類によってパイナップルの栄養価は変わりますか?
変わると思います。肥料の与え方によっても変わります。窒素を含む化学肥料を与えるとピリピリ感が出やすくなりますが、有機パイナップルはピリピリ感が少なくなる傾向が見られます。有機パイナップルは、シュウ酸カルシウムの含有量が少ない傾向があることがわかっています。※注1
やえやまファームでは肥料はできるだけ与えないようにしています。太陽の力と、豊富な雨、海からの風があればしっかり育ちます。また、食べ残し(残渣)を畑に戻すことで、循環が行われます。
※注1
慣行栽培(法律で認められた農薬、肥料を基準の範囲内で使う一般的な栽培方法のこと)のパイナップルも、うまくシュウ酸カルシウムをコントロールすることでピリピリ感は少なくなるそうです。
②上にかかっている黒い網はコウモリ除けですか?
網の目的は日焼け予防です。日焼けしてしまうと、水分がなくなってパサパサになってしまうので、パイナップルを日差しから守っています。
動物の被害としては、カラス、キジ、イノシシ、クジャク、コウモリ、ネズミなどの被害があります。ネズミに関しては、以前は4000玉のうち200玉程度ネズミにやられていたのが、猫を巡回させることで被害がほぼゼロになりました。
2019年には、イノシシに畑をすべて台無しにされてしまったことがあります。植え付けてすぐのもの、管理しているもの、これから実が付くもの、合わせて8万株程度がすべてやられてしまいました。
2018年にはコウモリに3万玉すべて食べられてしまったこともありました。
小さい台風で木の実が落ちてしまい、ハイビスカスの花も、ブーゲンビリアの花も少ない年でした。食料がなくなったコウモリに、パイナップルを食べられてしまいました。
最近では、台風に強い加工用のバナナの木を畑の近くに残しておくことで、コウモリをそちらに誘導しています。松の木があると、地中にカブトムシの幼虫などが増え、イノシシがそれを食べます。
一つの質問に対しても、多角的にたくさんの答えを教えてくださったパイン王子。パイナップル愛が止まりません。
最後に、参加者のみなさまに感想をいただきました。
石垣島に来てパイナップルが好きになったが、パイナップルがどんなふうにできるのか、また収穫するみなさんのことを知れて、もっと美味しく食べられるようになりました
まだまだお話を聞きたいので、次も機会があればぜひ参加したいです
こんな大変な思いをしてスーパーとかに並ぶと思うと、スーパーで見るパイナップルが愛おしくなります
ご参加いただき、ありがとうございました!ぜひ来年もツアーを開催したいと思っておりますので、今年タイミングが合わなかった方も、来年こそはぜひご一緒しましょう。
まだまだ楽しめるパイナップルの季節。ぜひ、いろいろ食べ比べて島の恵みを味わってみてくださいね!
Report: Asumi
やえやまファームの有機パイナップルはこちらで購入できます!
公式オンラインショップ https://yaeyamafarm.com/
ゆらてぃく市場(不定期・週2回程度) 沖縄県石垣市新栄町1−2
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