豊かな土から生まれる美味しいものが人と社会を幸せにする。 石垣島エシカルショップのパイオニア Baraque

更新日:10月2日

シードー線沿いに立つおしゃれなカフェBaraque(バラック)は石垣島では言わずと知れたバインミー屋さん。以前から環境に配慮したお店づくりをされてきていますが、なにやら新たな取り組みにもチャレンジしているようで、店主の田中すみれさんに改めてお話を伺ってきました。



「豊かな土」がキーワードのお店づくり

Baraqueのスタートは2015年。家族で石垣島北部の集落 明石に引っ越した際、ものづくりが好きな夫婦で何かお店を始めようと考えたのがきっかけ。「子供に安心して食べさせられる、美味しいものが作りたい」という想いからバインミー屋さんをスタートさせました。

2021年に現在の場所に実店舗としてグランドオープンし、今では環境問題への取り組みの先駆者ともいえるBaraqueですが、環境に配慮したお店づくりを強く意識し始めたのはコロナ禍がきっかけだったそう。

観光客が途絶え、ゴーストタウンと化した石垣島で「もしも食糧難になってしまったら…?子供達を守らないと!」と自給自足の生活を考え始めます。明石で無農薬の畑を持つ先輩オジーから畑を借り、炭素循環農法を目指して種を撒くところからスタート。そんな中、すみれさんはお母様の入院で1ヶ月島を離れる事になります。

島を離れ、畑仕事を出来ないままでいたすみれさんの元に届いたのは、蒔いた種から芽が出た!という家族からの知らせ。

何も手を加えていないのにきちんと芽が出るということへの感動、そして畑仕事をして土を触ることの安心感。

「豊かな土があれば農薬や化成肥料、堆肥すらも使わずに美味しい野菜ができる」ということ実感したすみれさんは「土」をキーワードにしたお店づくりを意識するようになります。



「ノンヴィーガンのためのヴィーガンフード」

お店づくりでもう一つキーワードとなっているのは「プラントベース」。

動物福祉アニマルウェルフェアや畜産動物の現状を知っていく中で、2021年10月からオールヴィーガンに舵を切りました。

ヴィーガンフードというとハードルが高く感じる方も多い中、目指したのは「一度食べたらまた食べたくなる」そんなヘルシーなジャンク風フード。実際にバラックのバインミーやハンバーガーはこれがプラントベース!?と思うほどボリューミーで食べ応えがあります。


お店の生ごみは裏手にあるコンポストで堆肥となり、それを使った畑で野菜が生き生きと育つ

プラントベースを実践してみて気づいたのは、それが「自分にとって気持ちの良い選択」だということ。

まずお肉や魚のように日持ちや匂いを気にしなくて良い、そしてキッチンのお掃除も楽!

消費期限の長い乾物を利用する事で食品ロスもなくなる…ビジネスとしても良い循環がうまれます。


環境問題・社会課題への取り組み

こういった活動の原動力の一つが、コロナ禍の休業中に取得した資格「エシカルコンシェルジュ」。

様々なジャンルについて学び、新たな知識を得ることがお店づくりにも活かされます。

昔から環境問題に関心があったものの、実際には子育てや日々の暮らしに精一杯でそこまで考えられなかった、というすみれさんですが、こういった気づきや学びをきっかけに、今では様々な取り組みに挑戦しています。


石垣島の環境を守るためのガイドラインを示した「コラコラ認証」には2019年のスタート時から参加
家庭でできるコンポスト「キエーロ」の販売店となっています

オーガニック食材などが販売される店内
SIIのマイボトルやサンゴにやさしい日焼け止め「Little Hands Hawaii」の販売も

2022年2月からスタートした「愛アンド文化シアター」では映画、音楽、ワークショップを通じて発信や交流の場を作りたいと、世界中の社会問題などをテーマにした作品の上映会などを開催しています。

今までに上映してきた作品は「バベルの学校」「丸木舟とUFO」「マイクロプラスチックストーリー」などなど。

そのほかにもワークショップやお話会など興味深いイベントが次々と開催されています。

サステナブルアイランド石垣もバラックとのコラボで「Chasing Coral」の上映会を開催

これからのバラック

さまざまな取り組みの中で、もちろん上手くいかないこともあるとすみれさんは言います。

新店舗オープンと共にスタートしたお野菜の量り売りも、農薬・化成肥料不使用の野菜は安定した仕入れが難しいことや価格設定などに課題があり、今はお休み中。

テイクアウトでは、マイカップかデポジットカップのみで使い捨ての容器を使用しない、という販売方法も利用者にはハードルが高かったようで、現在はテイクアウト用のカップも用意しています。

お店を運営していく事と、もっと手頃な価格で安心できる食事を届けたいという想いの間にジレンマもあります。

しかし、様々な失敗や挫折がありながらもそれを糧に新たなプロジェクトが生まれています。

今回私が取材に訪れたのは、こういった今までの活動に加え、目下進行中のプロジェクトを耳にしたからです。

「石垣島コーヒータンブラー」

ウェブサイトに登録することで、コーヒーを買う際に無料でシェアタンブラーを利用でき、登録店舗どこでも返却できるというプロジェクト。タンブラーにつけたQRコードを使用することで在庫管理ができる。石垣島内のカフェ6店舗が協力して9月末までトライアルを実施。今後フィードバックを経て登録店舗を増やし、実用化を目指す。

使い捨てとなるプラスチックや紙カップを無くしたい、というこの取り組みも実はグランドオープン後のバラックで実施したデポジットカップが上手くいかなかった経験があったからこそ。

実際に私も利用してみましたが、金額や店舗数などのハードルが解消されたことに加え「暑い日でも冷たいままでテイクアウトのコーヒーが飲める」というのは思った以上に嬉しい体験。石垣中のカフェで当たり前になる日が楽しみです。

「SANGO PROJECT」

“地球の生き物みんなのお母さん「珊瑚」も、地球の人間のお母さん「産後」も元気でいてほしい”というコンセプトの素敵なプロジェクト。

子育て中のママさんにミンサー織の残糸で刺繍を入れてもらったバラックのオリジナルグッズ。売上の一部を珊瑚の保全活動を続ける団体に寄付をするというもので、サステナブルアイランド石垣へも寄付を頂ける事となりました。

お店のグッズ販売の要望が多かった、という事もありましたが、一番の想いはすみれさん自身が子育て中に「社会と繋がれていない」という孤立感を感じていたから。産後のお母さんを応援したい、「子育て」という尊い時間を過ごすお母さん達がより生き生きと活躍してほしい、そんな想いから生まれた、素敵なプロジェクトです。

すみれさんは12月3日に開催されるやいまSDGsシンポジウムでも昨年に引き続き、島の飲食店やショップが並ぶ「やいま百貨店」を担当。地域のつながりの中で、活動の幅をどんどん広げています。

豊かな土から生まれる美味しいものが人と社会を幸せにする。

自分にとって気持ちの良い選択をすることが、地域や環境を良くしていく。

シンプルで強い想いがあるからこそ、人が共感し集まる場所になる。Baraqueの今後の活動にも注目です。

取材後記

私が素敵なバインミー屋さんを知ったきっかけは、セソコマサユキさんの「石垣 宮古 ストーリーのある島旅案内」。石垣へ来てからは、いろんな場所で名前を聞き、お見かけするすみれさんのお話を改めて伺えたのは、とても楽しい時間でした。

印象的だった言葉は「母ちゃんがハッピーだと家族もハッピー」

迷ったり失敗しながらも笑顔で周りを巻き込みながらどんどん進化していくバラック、そしてすみれさんからは、「石垣島ファミリー」みんなをハッピーにしてくれる力を感じた取材でした。

サステナブルアイランド石垣 Yayoi

araque(バラック)

〒907-0024 石垣市新川418-1 東店舗1F ☎︎08088450307 9:00〜16:00(LO15:30)

*日曜月曜定休 *不定期POPUP出店

*All menu TAKEOUT OK *Drive-through OK

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