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『家業を引き継ぎさらなる挑戦へ。島の自然とともに生き、その恵みを分けてもらうという仕事と次なる取り組み』

畑里さんのハーブティーは島内外からのファンも多く根強い人気があります。

今回は笑顔が素敵な島の青年 伊良皆 高虎(いらみな たかとら)さんの会社『畑里』を訪ね色々なお話を聞きしてきました。


高虎さんは現在30代前半。

10年前にお父が体調を崩し家業であるハーブティーの製造が追いつかなくなったため

県外から戻り、家業を継ぎました。

始めはすべてが手探り。

その上、ハーブティーの製造だけではなく畑もやらなくてはいけない。一人でやるには相当の仕事量だったと言います。

始めは慣れない作業のなかでしたが、ハーブティーを作っていくうちに子どもの頃からやっていた感覚を取り戻し、どんどんと作業は効率が上がっていきました。しかし、畑まではどうしても手が回らず放置していた。手入れができず整えられないままになっている畑には雑草がはびこりどんどん荒れ果てた畑となっていったそうです。

しかし、高虎さんはその畑を見ていて、あることに気づきます。一見荒れ果てたように見える畑の中にそれでも育っている作物がある。


そのときに「ああ、ここが好きでこの土地に適している作物があるのだ。それで良いんだ。」と思った。

それからはある程度は整えることもするけれど、あまり手を入れずそこに育ちたいように育つ作物を見守るように育てているそうです。

「ある意味、もう無理だ。と思い放置していたことがその気づきを生んだ。それは自分にとって大きな気づきでした。」と語ります。


高虎さんはそれから更に自然のままに育った植物を使うハーブティーづくりに取り組んでいきます。それは大きな事業転換でもあったそうです。

お父様は山の薬草をブレンドし、人々が健康になるお茶を目指しました。でもそれは時代の流れとともに薬機法(旧薬事法)など法規制が進む中で薬効をうたうことが難しく販売自体がしにくくなっていく。という現実がありました。


そこで、健康で元気になることはもちろん、みんなが喜んで飲んでくれるお茶を作ろう!と『健康になるお茶』から『味が最高に美味しいハーブティー』という味のクオリティーを全面に打ち出すことを決意。ハーブティーの改良と美味しさの安定を目指します。


(ハーブティーに使われている月桃)

【高虎さんはハーブティーを作る仕事をこう語ります。】


この仕事10年。まだまだ納得はしていないのですが、やっと味が安定してきていろいろな良い感想をいただけるようになってきています。

僕はこの島で生まれ育ち父の手伝いをし、畑の仕事もすべて親にさせられてきた。という思いが強かった。高校を卒業し島を出るときには「もう島には帰らないから。」と言って家を出ました。

そんな僕に父は無理して家業を継がなくても良い。好きなことをやれ。と言ってくれていた。

そんな父が倒れたと聞き、島に帰ってこのお茶を作り続けたいと思った。このお茶を絶やしてはいけない。あの時代に父は周りの人に「道に生えている草を商品にするなんて。」と言われながらも、島の草花たちの凄さを知っていて諦めず開発を続けお茶にして販売していた。その父の思いを受け継いでいきたい。その思いをもってこの仕事をやると決めた。

そして自分でやってみてその苦労を知った。手探りだったが、子どもの頃の経験を思い出し、それが活かされて今やっと収入にもなっている。自分も家族を持ち、その生活もこの仕事が支えている。

この話しをすると理解してくれる人はあまりいないかもしれませんが、この仕事は僕にとって自然や山の恵みを自分が生み出したり、生産し増やしているものではなく『山から頂いているもの』と思っている。なのでできるだけ自然とともにあり続けて行くことが良いと思っています。

そして、僕の仕事は今までずっと島に根付き育ってきた植物とともにあるということも強みです。台風が来ても長雨が続いても不安がない。その植物たちの回復力は他の農作物とは違います。

なので、農地というよりも少し山の土地を貸してもらって育つ範囲を広く取らせてもらってるという感覚で農業。と言っています。植えてみてそこに根付くものしか育てない。それもこの島に昔からあった植物でそれをやっています。

なので、僕の畑を見に来た方はみんな声を揃えて「ここは畑なのですか?」と聞いてくる。

それで良いのだと思っています。それくらい山と一体としているといい。それが僕は良いんです。


霊峰 おもと山の麓にある『畑里』の畑。

【畑里の次なる挑戦】

今、ハーブティーの原料となっている植物の1つである月桃のエッセンシャルオイルを作っています。

今までは島の化粧品会社の(有)サンシャトゥーさんが抽出し製造されていましたが、作業員の方が高齢化して続けられない。ということで僕に相談が来ました。

『オイルを製造する機械を使ってくれないか。』と。

僕は迷いましたが、その社長さんの島への熱い思いやコンセプトに共感し、挑戦してみようと思いました。

今でも僕は(有)サンシャトゥーさんがずっと前からやっている素晴らしい試みにご協力させていただいてるという意識と感謝とともにこのエッセンシャルオイルづくりに取り組んでいます。


(蒸留機にかけ、時間をかけてじっくりと抽出される精油。そのままをすぐ瓶に閉じ込め、植物の恵みだけがぎゅっとつまったナチュラルオイルです。添加物は一切使用していない。)


実はこのオイルの原料となる月桃はサトウキビ畑の周りに植えられ、赤土の流出を抑えるためのグリーンベルトという役割を担った月桃たち。100%その月桃を原料としています。

このグリーンベルトというのは畑の周りに植物を植えることで、植物の根っこが土留めとなり、雨が降ったあとの赤土流出が抑えられることにより、海の汚染を防止します。グリーンベルトによってサンゴや海の環境を守るためのものです。月桃はそのグリーンベルトにとても適した植物でもあります。


・その役割として植えられた月桃を最後まで良いものとして必要な人々に使ってもらいたい。

・役割を全うした月桃たちがもっと愛されてほしい。

僕は山に育つ月桃とは違い、役割を持って植えられた植物の月桃はまた何かが違う。その月桃たちを最後まで活かしたいのです。


月桃を使ったグリーンベルトに取り組む農家さんは増えてきていますが、畑里と契約しているのは現在3農家さん、畑は5箇所あります。

実は農家にとってはグリーンベルトは農地の一回り、ある一定の量の土地を使うので損をしている。という印象を持つ方もいます。

そのため、契約農家さんにはオイルの原料となる月桃をその農地の産物と同じ価値の価格をつけて買い取っています。

さらに、刈り取り作業などの手間もかかるので、刈り取りは地域のシルバー人材の方々に仕事として依頼しています。


今後、オイルの販売経路を増やし、購入してくださる方が増えていくことで、契約農家さんが増えていく。それを将来の目標にしています。

契約農家さんが増えることで、海への赤土流出を防ぐグリーンベルトが増えていき、サンゴや海の環境を守ることができる。それとともに島の方々が豊かになること、そして在来の植物たちが活用され人々との共生を生んでいく。

良き循環がそこに生まれていくといいな。と考えています。


エッセンシャルオイル

『畑里』さんのハーブティーに使われている植物たちは高虎さんが一つ一つ手作業で加工し、山のエネルギーがたくさん詰まっています。

エッセンシャルオイルも香り高く優しく広がり癒やしを与えてくれます。


今回、お話を聞きながら高虎さんに淹れてもらったハーブティーからは良い香りがし、山のハーブたちが高虎さんにそっと寄り添っている感覚を感じました。

心があったかほっこりする優しい時間でした。



高虎さんの挑戦はまだまだ続きます。

次回のレポート、島の若手の農業青年 宇根さんとともに考えた畑のツアーも好評です。その詳細は後日レポートしたいと思っています。

お楽しみに!





会社名 農業生産法人株式会社畑里(はるさと)

代表 伊良皆 高虎(イラミナ タカトラ)

所在地 〒907-0002 沖縄県石垣市真栄里1111-230

電話番号 0980-82-3071

メールアドレス info@ishigakijima-herb2.com

営業時間 8:00~18:00

定休日 不定休







































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