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“豊かな自然が織りなす静寂”に身を置く感動を提供する「うたくなー石垣島」

更新日:2023年2月6日

「うたくなー石垣島」は、唄と三線(さんしん)を愛する友利宇宙(ともりひろし)さんとニュージーランドで星空ガイドをしていた恵子さんが出会って生まれた、ありそうでなかった観光の形を提供しています。2人には小学生と1歳のかわいい女の子がいて、子育て真っ最中!といった忙しくも楽しそうなお二人に、下の女の子と一緒にお話を聞かせてもらいました。



宇宙さんの実家、石垣島の登野城(とのしろ)には、昔ながらの文化が今も色濃く残っています。今でも赤瓦屋根の伝統的な家が残り、お祝いやお祭りの際には島の唄が聞こえてくるどこか懐かしい雰囲気があります。宇宙さんのおじいさんは竹富島出身、お父さんは西表島で小さい頃から八重山(やえやま)の昔のことを聞きながら育ちました。子供の頃は野球少年でしたが、近所のおじさんがちょくちょく家で三線(さんしん)を教えてくれたりと、唄や三線は生活の中で身近なものでした。高校卒業後は大阪の大学へ行き、都会の魅力も味わったあとで、大学を卒業するころにはあらためて島の自然と暮らしに魅せられるようになったそうです。そして、23歳で島に戻って来てからは、知念清吉さんの主宰する知念清吉研究所へ弟子入りし、本格的に唄と三線を習い始めました。清吉先生に背中を押してもらい、24歳で初めて「とうばらーま」大会本選に出場し八重山古典音楽の世界へ入り、昨年は10年連続とうばらーま大会の本選出場を迎え、2017年には作詞の部で最優秀賞を受賞しています。(とうばらーま、そしてうたくなーの意味についてはこちらもご参考にhttps://www.utakuna-ishigakijima.com/about-us)

八重山では三線の教室のことを“研究所”というそうです。宇宙さんは三線のことを殆ど知らない私に、とても丁寧に熱く教えてくれました。まず、三線はあくまでも伴奏楽器であって“唄ありき”であること、昔中国から首里の都に渡り、琉球王国の士族の音楽となったこと。また、津軽三味線が荒波を彷彿とさせる音楽を表現する様に、自然環境が音楽に与える影響は大きいということ。八重山でも、穏やかな波の音を彷彿とさせる音色がある。八重山では、初めは田や畑で働くための労働歌としての音楽が中心だったが、農作業の機械化など時代の変化と共に労働歌を唄うことが減り、一方で三線を演奏しながらうたう現在の形の音楽になってきたそうだ。

今年89歳の清吉先生は労働歌をうたいながら農作業をしていたころから現在までの、一連の歴史の移り変わりを体現してきた人。そんな清吉先生に稽古をしてもらえることは宇宙さんにとって、”大好きなトップアーティストが至近距離に座って唄うのを聞ける感覚“なのだといいます。そして、自然環境が音楽を作るのだ、ということを改めて知ったそう。

ある時、宇宙さんは清吉先生に稽古をうけた後、忘れないうちに練習をしたくて夜中に山に行って一人で練習をしたそうです。そこは真っ暗闇で、当時夜行性の生き物や自然のことを全く知らなかった宇宙さんは自然の音が凄くてめちゃくちゃ怖く感じたそうです。しかし歌い始めたら、急に自然の音が遠くにいき、次第に近づいて来たように感じられ、上を見上げたら星がすごく輝いていて、この環境に唄が完全に溶け込んで調和する瞬間があったという。この体験は忘れられず、フクロウの声や風、受け継がれる島の音楽がオーケストラのように絶妙と感じ、祭りで演奏するのもすごく憧れることだけれど自然の中で演奏しその場所との一体感を感じられるのは最高ではないかと思うようになったそうです。

一方で、帰島してからは八重山古典音楽にうたわれる曲の情景を知りたくて、県立の研修施設“石垣青少年の家”に就職し、島の子供達や地元の方々を対象に、カヌー体験や初心者三線教室、登山シリーズ等を開催し、毎月文化や自然を体験するイベントを企画・実施しながら身をもって自然を学びました。そして、国立天文台石垣島天文台に異動になり、恵子さんと出会いました。


                                          

恵子さんは大阪出身で、2012年からワーキングホリデーでニュージーランドへ移住し、星空で世界的に有名な町テカポで星空ガイドをしていました。帰国後、八重山旅行をきっかけに国立天文台石垣島天文台の職員となり、また、星の知識を活かして石垣島や竹富島のリゾートホテルで星空ガイドも始めました。現在は八重山の星空の継承を目的とする一般社団法人星空H2O八重山地域振興会の代表理事もされ、2018年に石垣島が星空保護区に認定されたのは、恵子さんがテカポや西表の星空ガイドの友人とともに石垣市と竹富町に働きかけたおかげです。今ではすっかり石垣島でも星空観光や星空フォトが観光メニューとなり、星に関わる観光メニューが増えていますが、当時は全くマイナーだった八重山の星空の魅力をもっと多くの人に知ってほしい、という思いで国際ダークスカイパーク認定を市・町とともに進め実現し、今では星空を地域振興に活かす活動を続けています。



恵子さんは、同じ星でもニュージーランドでみる星とここでみる星は感じ方が全くちがうので、八重山らしい星空ツアーができないだろうか?と、星に纏わる八重山の民話を紙芝居にして文化と星を重ねるなど努力をしていましたが、そんな折に宇宙さんと出会いました。

八重山の民謡には星が出てくる曲もあります。星空をわかりやすく楽しく解説できる恵子さんと、八重山の自然と文化背景を唄と三線で伝えられる宇宙さんが出会ったことで、星空ツアーに島の音楽を生で合わせ深みを拡大するというアイデアが湧き、星空ツアーを中心としたアクティビティ会社の立ち上げにつながりました。



星空の下で、真っ暗だからこそ音や香りに敏感になり五感が研ぎ澄まされる時、ここにしかないその時だけの島の音を通じた一体感を感じられる。八重山諸島特有の大自然の音が引き立てる静けさに何度も感動してきた二人だからこそ、ありのままの島の魅力を感じてもらうことの素晴らしさを重視している会社です。その時間を提供することに重点をおくため、ツアー参加人数は少人数が基本で、星空の解説も最大でも20人に制限するなど、独自のツアー企画になっているが、本当にこの島に人が求めているものってなんだろうと考えた時、この様なツアーコンセプトになったそう。


うたくなー石垣島のツアーは、二人の知る星空のスポットや、日頃の三線の練習で使っていた人のいない浜辺などから組み立てたツアー内容で、その時を引き立てる贅沢な時間を提供しています。星空ツアーに参加された多くのお客様は、じっと大自然を見つめ何もしない時間が生まれるといいます。そして一度それを体験すると、お客さんもリピートしてくれるそうで、うたくなー石垣島にはリピーター客が多いのだそう。



本当に島に大切なお客さんってそういう人たちではないか、と二人はいいます。石垣島では観光戦略として「量より質」と言いつつもその方針が殆ど具体化されず、「質」ということを「お客さんの質」と勘違いしてる人が多いのでは、と恵子さんは言います。立派なホテルや観光施設を作り、高額消費をしてくれる観光客を呼び込むことだけではなく、ガイドの質やツアーの中身の質から上げるなど、受け入れ側がレベルアップし、この場所を大切に思う人たちにずっと何度も来てもらうことではないか、と思うそう。環境面でも、星空を享受するためには夜の美しい自然環境を保全し、後世に伝えていくことも重要と話します。隣の西表島は世界遺産認定によりガイド条例が整備され、きちんとマナーを守る登録されたガイドだけが山に入れるようになりましたが、石垣島の海も山もそういったコントロールは必ず必要になると感じているそうです。


宇宙さんは、初め島の人にそんなの仕事にならない、と言われていました。星空の下や山に登って民謡を唄うなんて、ただ遊んでいると思われるのだそう。初めは本気にはされなかったけれども、目まぐるしく効率化されていく時代に生きる人が求めていることを追求したらここに行き着き、ツアーを始めたらたくさんの奇跡のような瞬間があったそうです。短期記憶の無い認知症の母を介護するご家族をツアーにご参加頂いた際、その後毎日のようにその時のことを話すようになったお客様など…老若男女問わず「また明日から頑張ろー!」という声がでるそう。静かな大自然がもたらす豊かさ。派手なことをしなくても自然の作用が大切な時間を提供してくれる、と二人は教えてくれました。


うたくなー石垣島https://www.utakuna-ishigakijima.com

プライベートツアー、民謡体験ワーケーション、しゃにしゃに星空ツアーなどを提供。

事業所:沖縄県石垣市平得417-4-303Email : info@utakuna-ishigakijima.com

営業時間: 8.30am-17.30pm

Tel:090-1947-5898


Writer : yoko

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